NFTとは?高値で取引される理由

ETHでのNFT取引価格の移動平均

こちらはイーサリウムのスーパーレアNFTの取引額。
(縦軸は直近1000取引の移動平均【ETH】)

2020年1月頭では平均取引額が1ETH(当時140ドル)なのに対し、
2021年9月頭では平均3.7ETH(当時12,7169ドル)で取引されているという高騰ぶりを見せています。

ETHのNFTの時価総額

こちらはイーサリウムのマーケットプレイス別NFTボリュームの比較。
時価総額は約9億ドルだそうです。(cryptoart統計データ

「NFT」とはいったい何なのか?

また仮想通貨の人たちが変なことを始めたのか

何やら一部の人がやたら儲けてるけど、ただのバブルなのか?

それともデジタルコンテンツの新しい未来なのか

以下に気になったことをまとめました。

「NFT」とはNon-Fungible Tokenの略

Non(非)Fungible(代替可能)Token(トークン)

よく非代替性トークンと翻訳されます。

「非代替性」てあまり聞き慣れない言葉ですよね。
「Fungibility」は金融用語で、実は英語でも普段耳にすることはめったに無いです。

「その新しい時計ファンジブルだね」
って友達にドヤ顔で言ってみてください。
たぶん少し嫌われます。

Fungibilityはこのように定義されています。

Fungibility is the ability of a good or asset to be interchanged with other individual goods or assets of the same type. Fungible assets simplify the exchange and trade processes, as fungibility implies equal value between the assets.

Investopedia

意訳すると
「資産の価値が同等なため互いに交換可能なこと」

例えばお金は代替可能、Fungibleです。

日本円

財布から1万円を取り出す時、どの1万円を使おうか迷いません。
10円を使う時どの10円を使っても同じです。

そのお金が特別で、

「初めて子供にもらったお金」
「有名人が持っていた」
「ギザ十のような希少古銭」

でもない限りお金は常に代替可能です。

なんとなく察しがついたのではないでしょうか?

反対に、ポケモンカードは「非代替可能」です。

ポケモンカード

同じ素材で出来ていて、同じ裏表紙、同じ価格で正規販売しているにも関わらず

どのカードも自在に代替可能ではない、Non-Fungibleなのです。

※ 「ビリリダマ」は「リザードン」の代替にはならない。

金融用語としてのFungibilityは以上ですが、NFT界隈では

「唯一無二ゆえに代替不可能」のようなニュアンスで使われます。

普通にUnique Tokenで良かった気もします。
どうしても新語かつ三文字略語(NFT)にしたかったのでしょうか。

Non-Fungibleは非代替性ですが、
トークンとはブロックチェーン上に存在する暗号資産・仮想通貨の一種です。

つまり、NFT(非代替性トークン)とは、トークンを唯一無二の値に設定し、
そのトークンをイラストや動画などのデジタルコンテンツに紐付けることで
コンテンツ自体にも非代替性をあたえる特殊トークンの事を指します。

間違えられやすいのですが、NFT = コンテンツではありません。

NFTを所有するという事は、トークンを所有するという事。

イラストを購入しているわけではなく、
イラストに記載されている複製不可能・書き換え不可能なシリアル番号を購入している

と思ってください。

ただし記事では便宜上NFT=イラスト/動画として話したりします。

では、ただの文字の羅列に人はお金を払うのか?
以下に購入例をあげます。

NFTの例ー高額取引額で話題になったNFTを5つ紹介

1.CryptoPunks プロジェクト

8-bitのアバター

レアな#6965 #4156 #2890 #6487は合わせて520万ドルで落札。
その中でもスーパーレアの#3100 #7804はそれぞれ760万ドルで落札。

crypto punk #6965 #4156 #2890 #6487

2.CROSSRAD #1/1

10秒のCG動画

660万ドルで落札。

CrossRoad NFT

3.NBA Top Shot

NBAのハイライト動画

合計950万ドルの売上

NBA Top Shot

4.Everydays: the First 5000 Days

コラージュアート

690万ドルで落札

5.First Tweet

Twitterで初めて投稿されたツイート

290万ドルで落札

first tweet

以上はNFTの中でも特に高額で取引された例ですが、数千ドル、数万ドル、数十万ドルレベルでも
毎日のように取引されています。

いったい何故NFTは高額で取引されるのでしょうか?

高額で取引される理由

1.希少性

ダヴィンチのラフ

2016年。フランスのオークションハウスでレオナルド・ダ・ヴィンチのこちらの
絵画が18億円で落札されました。

アーティストの死去は作品に希少性をもたらす、
こちらは感覚的に分かりやすいのではないでしょうか。

レオナルド・ダ・ヴィンチはもう作品を生み出せないため
ラフ画でも18億円の高値がつく。

デビアスグループはダイヤモンドの希少価値を一定に保つため
流通量を制限している。(噂ですが)

身近な例でいうと、初期コロナ禍ではマスク入手が困難になったため
メルカリ等で高額で販売されていた。

そして、本来複製が極めて簡単なデジタルデータに対し、
ブロックチェーンは初めて希少性をもたらしました。

NFTが高額で取引される理由の一つに、

「発行枚数が限定される事により希少性を生み出してる」

事が挙げられます。

思えばNFTに限らず、BTC・ETH・ADA自体が
全て希少価値上昇のため発行枚数を限定していますね。

ただNFTの場合は、発行枚数が圧倒的に少ないため
トレーダーのアクションも早いのだと思います。

2.ミームが引き起こす需要

希少性だけでは価値は上がりません。
例えば私が色紙にサインをして、一点物にするためにNFTにしても誰も買いません。

需要がないからです。

何故「CryptoPunks」や「Cardano Beans」の様な一見誰にでも書けそうな(失礼)
イラストに一枚数千、数万・・・数百万の値がつくかと言うと

ミームになっているからです。

「その作品についてSNSやニュース等で発信している人が大多数いる」

という事実が

「高級車や高級腕時計のようにディスプレイした時に大勢から評価してもらえる」
「将来的に同額以上で売れる対象が大勢いる」

事への信頼へと繋がります。

先ほど、作家が亡くなれば希少性があがると記述しましたが、
話題性と共に人気もなくなるため、実は多くの美術品は下落傾向にあります。
愛好家による根強い人気が死後も尚衰えない時に限り、希少性との相乗効果を発揮します。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ」が58億円で落札されたのも
グスタフ・クリムトの「水蛇 II」に212億の価格がついたのも
資産価値としての信頼が根底にあります。

NFTの場合、インターネットで購入してそのまま
SNSに投稿しやすい → 拡散しやすい → ミームになりやすい
事から、需要も高まりやすいのかもしれませんね。

3.Certificate of Authenticity(ホンモノである事の証明)

「ホンモノ」とは何でしょう?

2019年12月、バナナにダクトテープで壁に貼り付けただけの
作品を作者のマウリツィオ・カテランは12万ドルで売ると言いました。

「誰が買うんだ?」

って思いますよね。

3つ売れたそうです・・・。
しかも3つ目は15万ドル。

環境の影響もあり、バナナは48時間も待たずして鮮度が下がり
やがて自称「ハングリーアーティスト」によって食べられてしまいました。

しかしこの行動に対して美術館側はこう主張しました。

Without a COA, a piece of conceptual artwork is nothing more than its material representation

Yahoo News

リンク先の翻訳:

『彼は美術品を破壊していない。バナナはいつでも取り替えられる。Comedian(作品の名前)には
マウリツィオ・カテランによって表現されたという確かなCOA(Certificate of Authenticity)があります。

そのCOAには「バナナをダクトテープで壁に貼る」という確かな情報が含まれており、
コレクターはこのCOA(ホンモノの証明)を購入したのです。
COAなくしてはコンセプトアートもただのディスプレイです。』

このCOAの部分をNFTに変えたらしっくり来ませんか?

NFTもただのトークンです。
イラストでもなければ動画でもないですが、
紐付けられているコンテンツが「オリジナル」である事の証明はします。

例えばこの作品はバナナとダクトテープと壁さえあれば誰でも再現できます。

ミームにもなりました。

バナナダクトテープ流行り

しかしこちらの模倣品にはComedianの10分の1の価格も付きません(多分)

NFTも誰でも自在にダウンロード出来ますし、スクリーンショットすれば
手軽に入手出来ます。

ただそれらに資産価値はありません。
トークンが唯一無二の文字列が非代替性を作る他に、

『そのアーティストによって表現されたという「COA」も非代替性を作る』

これもNFTがただのトークンにも関わらず人々が熱狂する理由の一つの
ような気がします。

バナナをダクトテープで壁に貼る代わりに、
NFTはトークンでブロックチェーンに貼ります。

しかも腐りません。

4.仮想通貨建て購入による金銭感覚の違い

本記事冒頭で、

「2020年1月頭では平均取引額が1ETH(当時140ドル)なのに対し、
2021年9月頭では平均3.7ETH(当時12,7169ドル)で取引されているという高騰ぶりを見せています。」

と述べましたが、ETH基準で見るとそこまで高騰していません。

高騰したのはETHの価格で、それに伴ってドル換算した時に
あたかも高額で取引されていると錯覚していまいがちですが、
ETHで取引を行っているうちは「高い」とそこまで感じていないと思います。

あくまで
「30万円で取引していない。1ETHで取引している」感覚。

日本からバブル前の中国の物価を知ると

「こんな豪華な物がこんな安価で食べれるんだ」

と異常に安いと感じられるかもしれませんが、
昔上海に住んでいて日常的にRMBで買い物してた身からすると
特別安いと感じたことはありませんでした。

高いのはNFTではなく、あくまでその仮想通貨の価格なのではないでしょうか。

カルダノにおいてのNFT

KURISはカルダノステークプールオペレーターであるため、
ここではカルダノのNFTについて特筆します。

大まかな仕様

カルダノブロックチェーンの特徴の一つに、adaを送受信する要領で
オリジナルのカスタムトークン「ネイティブトークン」も送受信できます。

更にネットワークと同期しているフルノード環境があれば、
誰でもネイティブトークンを発行・バーン(負の発行枚数で上書き)する事が出来ます。
(他の仮想通貨と違いスマートコントラクトを必要としない)
発行済のカスタムトークンリスト

 Adaネイティブトークン
トランザクション
として送る
UTXOとして出力
ウォレットアドレス
に送信
発行/バーン
手数料や報酬として
使用

技術的に言えば、このネイティブトークンとNFTに違いはありません。

ただNFTの場合、ネイティブトークンを作成する際に、

  • NFTが紐づく画像のタイトル・作者などのメタデータ
  • 発行可能な期間を極端に短くする事で自分でも複製不可能に

などの情報をポリシーに加えて非代替性を与えています。

ポリシーIDは以上の情報を含んだポリシースクリプトによって
作成されますが、NFT販売をする時は通常このポリシーIDが公開されています。

つまり、NFTを購入する側はこのポリシーIDを見て
「オリジナル」か「模倣品」か
を判断します。

用語意味
トークン任意の「アセット」の会計単位
例: 1 lovelace
アセット同じトークンの集まり / 通貨単位
アセットIDで識別される
例: トークン「lovelace」なら「ada」
アセット名アセットの名前情報
例: "ada"
アセットIDアセット名とポリシーIDのペア
ポリシーID通貨を識別するID
ポリシースクリプトのハッシュ値
ポリシースクリプト任意の通貨において誰が発行、又ははバーン(負の値で発行)
出来るか記述されているスクリプト
例:太郎さんの署名によってのみ発行が承認される記述が
あれば、発行できるのは太郎さんだけ
スクリプトカルダノブロックチェーンで実行されるコード
スマートコントラクトのライブラリ「Plutus Core」も
スクリプトの一つ
例:太郎と次郎の両名の署名がないと発行されないマルチシグスクリプト

カルダノNFTの作り方

カルダノでNFTを作るには2通りあります。

  • プラットフォームを利用して発行する
  • カルダノネットワークと同期したフルノード環境で発行する

Windows(Linuxが入ったバーチャル環境)・MacOS・Linux
であればフルノード環境は構築できます。

プラットフォームで発行するのと違い、細かく発行枚数やメタデータ情報などを設定できる上、
手数料も最低限で済みます。

何よりの利点は、他のサービスやフロントエンドと連携しやすい事ですね。
(NFT発行したらLINEで画像を送るなど)

ここでは詳しいチュートリアルはしませんが、
興味がある方はcardano.orgのドキュメントを参照してください。

さいごに

カルダノではステーキング報酬による収入ばかりが主流な話題となりがちですが、
NFTもコンテンツ流通のプラットフォームとして大きなビジネスの可能性を秘めています。

個人的な活用法として、お子さんやお孫さん、甥っ子姪っ子の作品をNFTにするのは大いにアリです。

手数料も少く、Youtubeよりも敷居が低い。

プライマリーマーケットで意外な価格がつくかもしれませんし、
マーケットプレイスの規約によっては「追及権」も保証されるかもしれません。
(追及権:セカンダリーマーケット以降で譲渡を繰り返すうちに価値が認められ、
価格が高騰した際に著作権者に対し対価の一部を受領する権利を認めたもの)

もしかしたら将来の授業料ほどの売上になるかもしれませんね。