【図解】統計的にみるカルダノ ADA ステークプールの選び方

ここでは ADA 委任するプールの選び方について解説します。

プールサイトを見ると情報が多すぎて何を見たらいいか分からない
フィルターや並び替えできるけど、
何でフィルターしたらいいか、何を並び変えればいいのかわからない

と迷うことが多いと思いますが、


本質的には、プールの選び方は二種類あってその2つの方向から選ぶことになります。

  • 今、そのプールが報酬を与える能力がどれだけあるか
  • 今後もそのプールが報酬を与えつづける活動をオペレーターが実行しているか

株式投資でいうテクニカル分析とファンダメンタルズ分析に近いかもしれません。

そのため、本記事では「現状」と「将来性」に分けて、
プールの選び方の説明をしていきます。

この記事ではカルダノ用語がたくさん出てくるため、
まだ読んでない方はこちらの記事を先に読むといいかもしれません。


❏ はじめに

報酬が決まる流れは、簡単に表すとこうなります。

ステーク報酬の計算

それぞれの調整を一旦ムシすれば、もらえる報酬は基本的には

「自分がどれだけADAを委任したか」

これだけで決まるのが見て取れますね。

実際には、あいだの調整がプールのステークサイズの影響をうけるのですが、
こちらはまとめるとこうなります。

調整現状気にすること将来気にすること報酬への影響度
誓約(Pledge)オペレーターがプール登録時に設定するADA
オペレーター委任量が誓約を下回ると
報酬がもらえない
誓約が高いと報酬が少しあがる
オペレーターの方針
今後変えるか
★☆☆☆☆
手数料オペレーターが設定する固定費とマージン
再設定すると次のエポックから反映される
マージンはプールサイズに比例して大きくなる
オペレーターの方針
今後変えるか
★★☆☆☆
パフォーマンスどれだけブロックを作れるか
運の影響とプールサイズの影響がある
サーバーの設計の改良や
メンテナンスをしているか
委任者が集まる・減らない
活動をしているか
★★★★★

こちらを踏まえて、これからは以下の順番に解説していきます。

このあとの報酬計算に一部シミュレーターの結果を使っていますが、
以下は気になる方むけ独自で作成したシミュレーターの仕様です。

- 各パラメーターはcardano-queryで取得して定義

- アクティブスロット数とスロットリーダー確率からランダムでスロットリーダー抽選を実行

- IOGの論文<Engineering Design Specification for Delegation and Incentives in Cardano–Shelley>の
Pool Rewards章に記述されている数式にパラメーターを代入して報酬を計算

- 固定費とマージンで調整

※ シミュレーターは理論値に基づいてるので実際の値とは異なります
また、データやプロトコル設定値は2021年8月13日時点のものを使用しているため、
設定が変更された場合はデータや推測値が異なる可能性があります。


❏ プールサイズによる報酬の影響


1. 小さすぎるプールの報酬

プールサイズが小さすぎると報酬はほとんどもらえず、
少し大きくなると貰える回数にムラができ、
もう少し大きくなると安定して貰えるようになります。

こちらはプールサイズが大きくなるにつれ、報酬を貰えない確率がゼロに
近づくことを表したグラフです。

ステーク報酬がゼロになる確率

5Mサイズのプールになると、ほぼ100%近く報酬がもらえるのが分かります。
ただ100%ではありません。
エポックを繰り返すうちに、小さいプールほど報酬が貰えない日が訪れやすいです

下の表は、
プールサイズごとに、最低1回は報酬がゼロになる時間を表しています。

ステークこのエポック数に1回は報酬なし時間に変換
0M15日
1M315日
2M735日
3M17約3ヶ月
4M42約7ヶ月
5M105約1年5ヶ月

これだけ見ると「小さいプールには委任しない方がいい」と思われるかもしれませんが、
そんな事はありません。

なぜなら小規模〜中規模プールのサイズは変動しやすいからです。

3エポックに最低1回は報酬なしが出るはずのプールサイズでも、
「このプールは大きくなる!」
または「応援したい!」と思えば小規模プールへの委任は全然アリです。

逆に1年5ヶ月は報酬が貰えるはずのプールサイズでも、
「マーケティングしてなさそうだし委任が減りそう」
と思えば委任替えをするのも全然ありです。

プールの小ささだけで委任リストから外す必要はありません。

2. 大きすぎるプールの報酬

大きすぎるプールへの委任は絶対にやめましょう。

プールが大きくなれば、プールに分配される報酬も多くなりますが、
カルダノでは、1プールが保有するステークを集中させないためにリミットをかけています。

ビットコインのマイニングプールのように一部が独占しないためです。

ビットコインのマイニングプールサイズ分布
ビットコインプール分布のパイチャート

カルダノでは、プールステークの最高サイズを64M(飽和点)に設定しています。

つまり、

プールが大きくなるにつれ、プールへの報酬額は多くなるけど
プールサイズが64Mを越えたら64Mで計算した時の報酬で分配する

ようになっています。

そうなると委任者への分配はおのずと減りますよね。
たとえ64Mを越えて委任者が増えなくても、ADAを移動させない限り
報酬によりプールサイズは膨張します。

子供1人につき5万円の給付金を支給します、ただし3人まで。
と定められたら4人目以降は逆に一人頭の分前が減りますよね。

飽和点を越えたプール、または飽和点に近いプールへの委任はやめましょう

しかし、飽和点を設定したにも関わらず、複数プールを所有することによって
カルダノでも一部のオペレーターがステークを占めているのが現状です。

ADAのステークプールサイズ分布

カルダノADAは通貨として使えますが、投票権としても使える二面性を持っています。
そしてステークの大きさは投票力に比例します。

  • どの台帳が正しいのか投票で多数決
  • 新しい機能やアップデートの決定を投票で多数決
  • カタリストプロジェクトの採用を投票で多数決

例えば一部が51%のステークを保有していると想像してみてください。

民主的に決めてるはずが、実質そのプールに決定権がある状態になりますよね。

そしてそのプールが「誠実」であるうちは問題ないのですが、
もし悪意があって台帳を書き換える攻撃をした場合、
みなさんのADAの通帳も上書きされることになります。

より投票力の分散化を目指すために、
例えばバイナンスのような大型プールに委任しないことで
独裁を防ぐことができます。

3. 中サイズのプールの報酬

エポックを繰り返してステーキングをした時の
シミュレーション結果を見てみましょう。

  • 委任量: 1,000,000ADA
  • 誓約: 100
  • 固定費: 340
  • マージン:0
大きいステークプールに委任した時
中くらいのサイズのステークプールに委任した時

50Mプールに委任した時の、エポックの報酬額は安定していて、
10Mプールに委任した時は振り幅が大きいですよね。

しかし報酬の平均で見ると、50Mプールは671ADAで、10Mプールは683ADA
そんなに差はないように見えます。

「たまたま」10Mの平均の方が大きかったですが、運次第で
大きいプールが小さいプールより多く報酬が貰えたり、
小さいプールが大きいプールより多く報酬が貰えたりします。

大きいプールの報酬が安定していて、小さいプールの報酬が不安定な仕組みはこちらです。

プールのブロック生成数運がよくて5つ多く作った運が悪くて5つ少なく作った
平均50ブロック作る大型プール55/50 = もらえる報酬が10%多い45/50 =もらえる報酬が10%少ない
平均10ブロック作る中型プール15/10 = もらえる報酬が50%多い5/10 = もらえる報酬が50%少ない

ただ平均の区間推定をすると
50Mプールは95%の確率で 650ADA ~ 693ADA
10Mプールは95%の確率で 636ADA ~ 739ADA
の間に収まります。

つまり、10M以上のプールなら報酬の違いはほとんどたまたま、です。

次は、ステークサイズに伴う年間ROAの変化をみましょう。

大きいステークプールのROA
小さいステークプールのROA

左のグラフが50万ADAを委任した時で、右のグラフが1万ADAを委任した時です。


10Mまではプールサイズが大きくなるにつれ年間ROAも増えますが、
以降はほぼ変わらないですよね。

自分のステークサイズに関わらず、10M以上のプールは利回りがほぼ同じことが分かります。

振り幅が激しいので、エポックのROAとか過去ROAはあまり参考になりません

まとめるとこのようになります。

プールサイズ重要度メモ
0M〜10M★☆☆☆☆今ブロック生成できるかを参考の一つとしてみる
10M〜50M☆☆☆☆☆年間で見た時のROAに、サイズによる差はないので見なくていい
50M〜★★★☆☆真っ先に選択肢から外す

これは10M以下のプールに委任しない方がいい、と言っているわけではなく、

あくまで

「10M以下プールの報酬への影響はこれくらい」

と参考程度に留めてください。
なぜならあとで解説するオペレーターの運営により、今後のプールが大きく変わるからです。


❏ 誓約による報酬の影響

まずオペレーターがどれくらい誓約を設定しているのか
分布をみてみましょう

全ステークプールの誓約分布
誓約が7M未満の分布
誓約が700k未満の分布

大きい誓約のプールはプライベートプールで、
オペレーターの委任によってのみ報酬を得るステーキングです。

これを見ると、
95%のオペレーターが70万ADA以下を誓約に設定していることが見て取れますね。

ほとんどの人が委任するプールが70万ADA以下を誓約しているプールであるため、
誓約が0から70万に増えた時にROAにどう影響するかシミュレーションしてみましょう。

手数料・委任量・ステークサイズは固定で、運要素もいれていないため、純粋な誓約だけによる変化です。

誓約によるROAの変化

誓約が増えるとROAが線形に増えるのがわかります。

70万ADAを誓約した時と、0ADAを誓約した時のROAの差は0.016%

エポック平均報酬ADAが600ADAの場合、年間の差は7ADAです。

ADA/JPYが300円なら2100円。

この差を大きいと取るか小さいと取るかはそれぞれですが、

誓約の違いは、プールのスロットリーダー抽選による報酬の上下の影響で
ほとんど意味がなくなるのが現状です。

これから先カルダノの設定で、誓約による影響度があがったら
また考え直したほうがいいかもしれませんが、

今の段階では誓約による報酬の違いは微々たるものです

「高い誓約は、オペレーターの資本と覚悟の表れ」

くらいの認識で大丈夫だと思います。


❏ 手数料による報酬の影響

手数料には340ADAから設定する固定費(Fixed Cost)と、
固定費を差し引いた額からオペレーター報酬になるマージン(Margin)があります。

一つづつみていきましょう。

1. 固定費の影響

ステークプールの固定費分布

99.6%のプールが固定費を540以下に設定しています。

固定費を0〜540、プールサイズを1Mから64Mに設定してROAがどう変わるか見てみましょう。

ステークプールの固定費とROAの関係

プールサイズが小さい内は固定費をあげるとROAが大幅に減りますが、
プールサイズが大きくなれば固定費をあげてもROAはほとんど変わらないのが見て取れますね。
固定なのでステークを占める割合が小さくなるので当然ではありますが・・・。

目安として表を載せておきます。

固定費1M7M16M35M64M
380-0.292%-0.146%-0.042%-0.018%-0.008%
420-0.584%-0.292%-0.084%-0.037%-0.017%
460-0.876%-0.438%-0.126%-0.055%-0.025%
500-1.168%-0.584%-0.167%-0.073%-0.033%
540-1.46%-0.73%-0.209%-0.091%-0.042%

固定費を340より上げた時に、ステークプールのサイズを見て年間で自分がどれくらいのROAを失うか分かります。

ステークサイズが大きくなるにつれ、失われる割合も小さくなりますが、リスクとして留めておいてください。

2. マージンの影響

ステークプールのマージン分布
ステークプールのマージンヒストグラム

円グラフを見ると、21.4%がマージンを0に設定していて、73.7%がマージンを0〜0.2に設定しています。
ヒストグラムを見ると92.8%が0〜0.11に設定しているのが分かりますね。
ちなみにマージン1に設定しているのはプライベートプールです。

0.6〜0.8に設定しているプールはなかったため、
95.3%を占めるマージン0.6でシミュレーションしてみようと思います。

ステークプールのマージンとROAの関係

今度はROAの減りが顕著ですね。
ステークサイズがあがってもマージンによる損失は補正が効きません。
これもパーセント引きなので当然といえば当然ですが・・・。

以下に代表データをピックアップしたので載せておきます。
ヒストグラムを参考にマージン0.13までを代表として選びました。

マージン1M7M16M35M64M
0.01-0.025%-0.046%-0.048%-0.049%-0.049%
0.02-0.025%-0.046%-0.048%-0.049%-0.049%
0.03-0.025%-0.046%-0.048%-0.049%-0.049%
0.05-0.049%-0.092%-0.096%-0.097%-0.098%
0.08-0.073%-0.137%-0.143%-0.146%-0.147%
0.13-0.122%-0.228%-0.238%-0.242%-0.244%

こちらも最低であるマージン0との差です。

同じ値があるように見えますが実際には1万分の1くらい違うので省きました。

固定費と同じく、こちらも高いととらえるか低いととらえるかはそれぞれですが、
これくらいのマージンだとこのくらい減る」というリスクとして参考にしてください。

公式では固定費やマージンは、
オペレーターのサーバーを含めた運用コストのために設定すると述べています。
実際には

  • ブロック生成サーバー
  • リレーサーバー
  • バックアップサーバー
  • ストレージサーバー
  • 異常検知・通知サーバー
  • 非常時に備えるため、以上サーバー群の複数構成
  • 委任者への報酬還元拡大のための広報活動費
    • Webサーバー・DNS・ロードバランサー・API・データベースサーバー
    • その他営業・広告費

などなど、オペレーターの活動範囲によってコストも異なります。

プールオペレーターが、マージンや固定費に見合う活動を行っているか

こちらを事前に知っておくことでそのプールへの委任が正しいのか、
判断基準の一つになると思います。


❏ パフォーマンスによる報酬の影響

ここでいうパフォーマンスとは

いかに継続的に割り当てられたブロックを生成できるか

に当たります。

ブロックの生成数は、スロットリーダーに割り当てられる確率、
つまり運の影響はありますが、割り当てられたスロットに対して
100%に近いパフォーマンスを出すための努力はオペレーターの仕事です。

ブロック生成ミスの時のROAへの影響

ブロックのミスは、プールに割り当てられた報酬から割合で天引きがかかりますので、
プールサイズに関係なく痛手です。

もらえる報酬が安定しない小規模プールだと、そもそも報酬がゼロにもなりかねません。

ミスの原因は大まかには以下があります。

  • マシンスペックが低く、リソース不足でブロック生成に失敗する
  • 地域によっては、ブロック生成時に停電
  • 自宅などで運営している場合は、プロバイダーやルーターに不具合が発生した時にネット回線に繋がらない
  • ブロック生成に必要なKES証明書の更新忘れ、または更新失敗
  • 自然災害
  • そもそもブロック生成できるものと思い込んで監視または自動監視システムや通知システムを構築していない

特にステークサイズが大きいプールだと、ブロック生成数も多いため、サーバーの障害対応やアップデート対応は
生成スケジュールの合間をぬってスピーディーに行う必要があり
DevOpsなどのスキルが要求されます。

プールの規模・誓約・固定費・マージンなどはプール紹介サイトからでも見れますが、

オペレーターが対策を行っているかは、Twitter・Telegram・Webサイトなどに実際に行って
対応策を講じているか見て調べるまたは問い合わせる必要があります。

そのため、プールのブロック生成環境をセキュリティー上問題がない範囲で公開しているオペレーターは安心ですね。

預かり知らぬところで、ブロック生成ミスによる余分な損失を被らないためにも、
積極的にオペレーターが公開している情報を見ましょう。

たとえプールサイズが小さくても、オペレーターが公開しているブロック生成環境、知見やサーバースキル、
他の委任者の上昇率などを見れば、近い内に成長して長期的に報酬を得られるか分かります。

逆にある程度プールサイズがあっても、運用が乱雑だと委任者が離れていくのも分かります。


❏ 選び方まとめ

項目重要性
プール名そのプールがどれだけステークを独占してるか見ます
プールサイズ
Stake
ブロック生成できるか、目安の一つにします
ROA運の作用が大きいため見なくていいです
オペレーターの運用のおかげでROAが高いかは数字からはわかりません
Luck一番見なくていいです
Luckが高くて急いで委任しても、次もLuckが高いとは限りません
Luckのムラがあっても、長期的にはそのプールのROAに回帰します。
固定費・マージン
Fixed margin
参考程度にみてください
高いと思ったら、設定に見合う活動をしているかオペレーターのSNSやWebサイトを見ましょう
誓約
Pledge
影響度低いので見なくていいと思います
飽和度
Saturation
絶対見ましょう
飽和点を越えたプールでは報酬が減ります。飽和しそうなプールも避けましょう
委任数見ましょう
絶対数ではなくて、委任が安定して増えているかでオペレーターが有効なマーケティングを行っているかが間接的にわかります
SNS・Webサイト絶対見ましょう
ブロック生成環境構築をしっかりしているか
効果的な委任者集めができているか
固定費・マージンをあげる予定はないか
カルダノ・ブロックチェーン・サーバーに関する知見はあるか
報告に透明性はあるかがわかります

いかがでしたでしょうか。

ある程度の条件を満たせば、プール間においてさほど報酬額の差はないため、ベストなプールはないと思います。

あとはオペレーターの活動内容や、カルダノコミュニティへの貢献度などの側面も考慮にいれて

自分にとって少しベターなプールを選ぶのが正解だと思います。

もし具体的にどのような考え方でプールを選べば良いのか気になる方には、
こちらで実例をまじえてまとめています。

最後まで読んでいただきありがとうございます!